ナノ材料の評価技術の開発

2019年2月28日

新規メモリの実現のためには従来のシリコン半導体にはない機能を有するナノ材料(サイズ10nm以下の分子や粒子 n=10-9)の開発が必要になりますが、このような微小な新規材料の電気的特性を評価するのは非常に困難でした。

例えば下部電極上にナノ材料を成膜したのち上部電極を形成する場合、ナノ材料の耐熱性が低く上部電極の成膜温度に耐えられなければ特性が劣化したり、上部電極材料がナノ材料に入り込んで下部電極と短絡する場合がありました。またナノ材料を走査型トンネル顕微鏡(STM=Scanning Tunneling Microscopy)の探針で評価する方法もありますが、良好な再現性を得るのは大変でした。

今回我々は最先端の半導体プロセスを応用して、ナノ材料のサイズと同程度の隙間がある図1のようなナノギャップを制御性良く一括形成し、ギャップ作成後にナノ材料を挿入することでナノ材料の電気特性を評価する手法を確立しました*1。図2のような金ナノ粒子、C60フラーレン、オリゴフェニレンエチレン誘導体などのナノ材料を、5nm、2nmのナノギャップに挿入した電気特性が図3で、1pA(p=10-12)以下の微小電流まで精度良く測れています。図4はそれぞれの材料の0.1pAの電流が流れる閾値のヒストグラムで、多数のサンプルの測定が可能になったことで分布が得られています。

我々は今後も新しい評価技術を開発し、新しいナノ材料の開発に活用することで、新機能デバイスの開発を推進していきます。

ナノ材料の評価技術の開発
  1. 2018年9月に開催された第79回応用物理学会秋季学術講演会で発表(講演番号20p-231B-6)