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技術開発ヒストリー
1987年のNAND型フラッシュメモリの発明をはじめ、電子機器の進化や情報社会の進展をグローバルに支えてきたキオクシアのあゆみを、フラッシュメモリとSSDの開発史を通じてご紹介します。
*本ページに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
1980年代~1990年代
NAND型フラッシュメモリの黎明期
キオクシアは1987年に世界で初めてNAND型フラッシュメモリを発明しました。
NAND型フラッシュメモリは大容量のデータ保存を可能にする記憶用デバイスで、今やスマートフォンなど身近な電子機器や、データセンターに欠かすことのできない基幹部品です。
製品化当初、主流だったメモリ容量はまだ4~16Mbit(現在の写真や音楽データの容量に換算すると音楽1~2曲程度、写真1~2枚程度)でした。この当時からキオクシアは、「フラッシュメモリはやがてハードディスクに置き換わる」と考えて大容量化に向けた開発を進め、次々とブレークスルー技術を生み出しました。1998年には、256MbitのNAND型フラッシュメモリを製品化しています。(256Mbit:音楽CD 1~2枚程度、写真16~32枚程度)
一方、SSDは「SSD」という名称がなく、「シリコンディスク」や「フラッシュドライブ」などと呼ばれていました。
モータやピックアップなどの稼働部品がないため耐振動性や耐衝撃性に優れているという長所があり、一部の産業機器などに採用されていましたが、NAND型フラッシュメモリはHDDに比べて非常に高価であり、一部の機器で採用されていただけでした。
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Column:フラッシュメモリが変えたライフスタイル
90年代に登場したデジタルカメラは、その場で撮影した写真を見ることができる、現像の手間がかからないなど、それまでのカメラの概念を大きく変え市場が広がりました。その技術革新の一端を担ったのが、データを記憶するメモリカードです。NAND型フラッシュメモリの市場を拡大するきっかけとなったスマートメディア™に続き、コンパクトフラッシュ、メモリースティック、xD-ピクチャーカードなど、さまざまな形の各社のメモリカードが開発され、現在も広く使われるSDメモリカードは2000年に製品化されました。フラッシュメモリの性能が向上、容量が拡大するとともに、メモリカードの市場が拡大しました。
また、音楽を聴く環境を大きく変えた携帯音楽プレーヤーにもフラッシュメモリが使われるようになります。従来と比べ大幅に軽量化、小型化、耐衝撃性を実現したシリコンオーディオプレーヤーによって、スポーツをしながらなど、それまで以上に場所を選ばず音楽を聴けるようになりました。
2000年代
NAND型フラッシュメモリの超大容量化と市場拡大
携帯電話・スマートフォンや音楽プレーヤー・デジタルビデオカメラなどのデジタル製品の普及により、大容量かつ高性能なフラッシュメモリが求められるようになりました。キオクシアはこうした需要に応えるため、メモリセルの微細化や回路・プロセスにおける新しい技術を次々に生み出し、大容量のメモリチップを開発・量産してきました。
2007年には世界で初めて3次元フラッシュメモリ技術を発表、その後「BiCS FLASH™」として製品化し、現在に至るまで進化を続けています。
また、この時期からSSD(Solid State Drive)の開発が本格化します。2001年にSLC NANDを搭載したSSDを製品化して以来、2000年代後半には、多値化技術を導入したフラッシュメモリを搭載したクライアントSSDの製品化に成功。ノートブックPCにHDD(Hard Disk Drive)の置き換えとして搭載されるようになり、ノートブックPCの高性能化、軽量化に大きく貢献しました。
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Column:スマートフォンとフラッシュメモリ
スマートフォンの出現は、日常生活からビジネスの在り方まで社会を大きく変革し、今や私たちの生活になくてはならないものになっています。スマートフォンが普及した要因の一つに挙がるのが、写真や動画の撮影機能です。写真や動画の記録にもフラッシュメモリが使われています。
画質の向上とともにスマートフォンに搭載されるストレージ容量は年々増え、現在では1台で1TBのストレージを持つスマートフォンもあります。ただ、大容量のストレージが必要になっても、スマートフォンのサイズは大きくできませんので限られたスペースにフラッシュメモリを配置しなければなりません。
さまざまな技術開発によって、大容量化・高性能化を実現したフラッシュメモリが、スマートフォンの大容量ストレージを支えています。
2010年代
フラッシュメモリは2次元から3次元へ
2007年に世界で初めて3次元フラッシュメモリ技術を発表した後、2010年代半ばには量産製品も2次元のNAND型フラッシュメモリから3次元フラッシュメモリ(BiCS FLASH™)へ切り替わりました。さらなる大容量のメモリ製品が実現し、フラッシュメモリの市場がさらに拡大しました。
SSDは、2000年代から始まったインターネット・クラウドの普及に伴い、モバイルPC製品からサーバ・データセンターへと市場を拡大しました。キオクシアは、高いパフォーマンスと高信頼性が要求されるエンタープライズ・データセンター分野のストレージ技術や製品に関する数多くのノウハウを取得し製品化しました。
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Column:SSD
SSDとはSolid State Driveの略で、記憶媒体としてフラッシュメモリが使用されています。磁気ディスクを使用しているHDD(Hard Disk Drive)に対して、高速、低消費電力、耐衝撃性に優れるなどの利点がある一方、当初はHDDに比べて価格が高いという不利な点がありました。
フラッシュメモリの大容量化技術により1ビットあたりのコストが下がるにつれ、PCがより速く立ち上がる、低消費電力のため発熱が少ない、などのSSDの特長を活かした市場に参入し、そのメリットがユーザーにも受け入れられています。
2020年以降
フラッシュメモリとSSDのリーディングカンパニーとして新たな市場を創造
今から30年以上前に開発が始まったフラッシュメモリは、当時、1チップあたりの容量が4Mbitで、HDDと比較して1万~10万倍も値段が高いものでした。その後の技術開発とコスト削減により、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、スマートフォン、 SSDなど社会を大きく変えてきた製品に利用されてきました。
キオクシアのフラッシュメモリとSSDはこれからも進化を続けます。
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Column:SSDの未来
ビッグデータやIoTの拡大により、企業、個人の両方で取り扱うデータの容量は爆発的に増え続けています。また、最新のSSDの容量とパフォーマンスは飛躍的に向上し、単独のコンピュータノードでは使いきれない容量になろうとしており、ネットワーク全体でSSDを共有することが喫緊の課題になっています。
この課題を解決するアプローチとして、「ソフトウェアデファインドストレージソリューション」が登場しました。キオクシアが開発したKumoScale™は、ソフトウェアレイヤーを使用して、サーバー上にある物理データストレージ容量に対して効率的な管理を行うことで、SSD、ひいてはフラッシュメモリの性能を最大限に引き出します。
キオクシアは、フラッシュメモリをベースにした、フラッシュメモリでなければ実現できないような新しい応用、新しい市場を、開拓し続けています。
略称の説明
- SLC: Single Level Cell
- MLC: Multi Level Cell
- TLC: Triple Level Cell
- QLC: Quad Level Cell
- PATA: Parallel ATA, Parallel Advanced Technology Attachment
- SATA: Serial ATA, Serial Advanced Technology Attachment
- mSATA: mini SATA
- SAS: Serial Attached SCSI (Small Computer System Interface)
キオクシアは主要学会や論文での発表を行っており、高い評価を受けています。