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FeFET (Ferroelectric FET) は強誘電膜の自発分極(Ps)の反転に伴うVth(閾値電圧)の変調を利用した不揮発メモリです。強誘電性HfO2を用いたFeFETは、低電圧・高速動作が可能であることに加え、CMOSプロセスとの整合性が良いというメリットを有し、次世代メモリの候補として注目されています。
界面SiO2を有するFeFETでは、Ps反転に加え、(i)Psと連動した電荷捕獲、(ii-1)書き込み時に生じる電子捕獲、及び(ii-2)読み出し時に生じる電子捕獲といった様々な種類の現象が生じます(図1)[1]。本研究では、このうち読み出し時に生じる電子捕獲(ii-2)がデータ保持中のFeFET特性に与える影響を調べました。
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具体的には、読み出し動作中に過渡的に流れる電流を計測することで、電子トラップサイト密度の時間変化を定量的に抽出しました(図2(a))。その結果、図2(b)に示すように、消去/書き込み・サイクルによって新たに生成した、読み出し時に電子を捕獲するトラップサイトが、室温において1時間ほどをかけて徐々に消失することが分かりました(図2(b))。
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サイクル前後およびデータ保持中における
電子トラップサイトの密度変化[2]
このようなトラップサイトの回復は、データ保持過程のVthを負方向に変調します(図3)。FeFETのデータ保持特性の改善には、サイクル劣化とその後の回復現象の両方を理解する必要があることを明らかにしました。
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Copyright (2023) The Japan Society of Applied Physics
私達は、本成果を国際学会SSDM 2023で発表しました。
文献
[1] R. Ichihara et al., IEDM, 131 (2021).
[2] V. Schlykow et al. SSDM Ext. Abstr. p.435 (2023).