Please select your location and preferred language where available.
フラッシュメモリはデータを書き込む前に消去処理を必要とします。消去処理はブロック単位(数MB~数十MB)で実行されるため、ページ単位(4KB~16KB)で実行される読み出し・書き込み処理と比較して処理完了に長い時間を要します。消去処理中は、書込み・読出し動作が行えないため、消去処理はスループットの低下やレイテンシの増加といったSSDの性能問題が生じる要因になります。それは、低レイテンシフラッシュメモリを用いたSSD(低レイテンシSSD)でも同様です。
消去処理による性能問題を軽減する方法として、消去中断技術は広く用いられます[1][2]。従来のSSDは消去中断技術により理想的な状態(消去実行時間がゼロ)に近い性能を実現できます(図1(a))。一方で、低レイテンシSSDは従来の消去中断技術を用いたとしても消去処理の影響を十分に隠蔽できず、理想的な状態から大幅にスループットは低下し、レイテンシは増加します(図1(b))。これは、低レイテンシフラッシュにおける消去処理が読み出し・書き込み処理ほどに高速化されていないことに起因します。
我々は低レイテンシSSDで高スループットと低レイテンシを実現するために、消去スループットを向上させる同時複数ブロック消去技術(図2)と、NAND型フラッシュメモリ内部の消去処理の区切りとは独立した中断箇所を設定できるアダプティブな消去中断技術(A-ES)(図3)を組み合わせた技術を提案しました。提案技術は、消去スループットを向上し、そのオーバーヘッドを独立した中断箇所により軽減することで、低レイテンシフラッシュメモリにおける消去処理の負担を軽減します(図4)。データベースアプリケーションのベンチマークであるAerospike Certification Tool[3]を用いて評価したところ、提案技術は従来技術と比較してスループットとレイテンシの両面で優れた性能を達成しました(図5)。
本稿は2023年6月に開催された国際会議The 16th ACM International Conference on Systems and Storage (SYSTOR '23) で発表された文献[4]から図面等の一部抜粋&再構成したものです。
文献
[1] Shine Kim, Jonghyun Bae, Hakbeom Jang, Wenjing Jin, Jeonghun Gong, Seungyeon Lee, Tae Jun Ham, and Jae W. Lee. 2019. Practical Erase Suspension for Modern Low-latency SSDs. In 2019 USENIX Annual Technical Conference (USENIX ATC 19). USENIX Association, Renton, WA, 813–820.
[2] Guanying Wu and Xubin He. 2012. Reducing SSD Read Latency via NAND Flash Program and Erase Suspension. In 10th USENIX Conference on File and Storage Technologies (FAST 12). USENIX Association, San Jose, CA.
[3] Aerospike Certification Tool.
https://github.com/aerospike/act
[4] Takumi Fujimori and Shuou Nomura. 2023. BOOSTER: Rethinking the erase operation of low-latency SSDs to achieve high throughput and less long latency. In Proceedings of the 16th ACM International Conference on Systems and Storage (SYSTOR '23). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 94–104. https://doi.org/10.1145/3579370.3594774