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半導体メモリ製造における省エネルギー―最新技術を駆使した「ファーネス(炉)」―
地球温暖化による気候変動は、生態系や私たちの生活に大きな影響を与え、地球規模で深刻な問題を引き起こしています。キオクシアグループでは、気候変動をサステナビリティ重要課題(戦略マテリアリティ)の一つに位置付け、2050年温室効果ガスネットゼロ*1という目標を掲げています。その一環として、省エネルギー型の製造装置の開発および導入を積極的に進め、温室効果ガス排出量と事業で使用するエネルギー量の削減に取り組んでいます。
熱処理の消費電力を徹底的に分析し、改善の機会を見つける
半導体メモリの製造において、ウエハーの熱処理は品質の担保に欠かせない重要なプロセスです。キオクシアでは、半導体製造装置のサプライヤーとの協働により、熱を制御するファーネス(炉)*2に最新の省エネルギー技術を適用し、2010年代後半から導入しています。ファーネス(炉)では、炉内へのウエハーの送り込み、加熱、冷却、炉外へのウエハーの送り出しといったプロセスが繰り返されます。当社は、一連のプロセスにおける電力消費量を分析し、ウエハーの加熱と冷却パターンを最適化しました。さらに、より消費電力の低いヒーターの採用や断熱効果の高い断熱材などの省エネルギーに貢献する技術を評価し、導入を進めました。
これらの取り組みによって、当社は従来の装置に比べてウエハーあたりの消費電力を半減させ、2023年度には3億kWhを超えるエネルギー消費量の削減に成功しました。この削減量は当社四日市工場が所在する四日市市の世帯の約半数、約7万2千世帯の一般家庭が一年間に消費する電力量*3に相当します。これにより、年間約12万トンのCO2排出削減が実現し、地球温暖化防止に寄与しています。
今後もキオクシアグループは、バリューチェーン全体を通した環境負荷低減に向けて、さまざまなサプライヤーと連携を深め、貴重な資源を未来に引き継ぎ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
- 事業活動にともなう温室効果ガス排出量(事業場からの直接排出(Scope1)、および購入エネルギー使用に起因する間接排出(Scope2))をネットゼロ(温室効果ガスの排出量と吸収・除去量を差し引きゼロ化)にすること。
- ファーネス(炉)は、半導体メモリの製造プロセスで使用される高温・加熱を制御する装置で、石英製の筒状容器とヒーターで構成されます。ウエハーを酸化、堆積、拡散、結晶成長させるために、高温かつ均一な加熱を可能にするガス制御技術が用いられます。
- 2024年8月現在(当社調べ)